青海1丁目の奇跡 2

話には聞いていたが、壇上に係員がズラリと並び、客を背後からどんどん押し
流し、少しでも粘ろうとする客があれば、メンバーの後ろに居る係員がムリヤリ
手を引き剥がす、文字通りの流れ作業……。
「お客さまは神様です」などという思い上がったアホな戯言を言うつもりは
毛頭ない。毛頭ないが、これではあまりに、
<font size=5 color="#dc143c">僭越と言うか無礼だろうが!( ゚Д゚)ゴルァ!!</font>
しかしながら、文句を言ったトコロでつまみ出されるのがオチである。
かくなる上は、愛理様と0.5秒でも長く握手できる方策を探るしかあるまい。

持参必須だった会員証と期限証の間になぜか「あぁ!」のトレカが挟まっていた。
それをチケットホルダーの表側に見えるようにして、それが首の下にくるように、
かなり紐を短くして壇上に登り、リーダーの矢島さんから握手開始。
「楽しかったです」「頑張ってください」「応援してます」と(自分の)
台本通りに声をかけていく。4人目の中島さんがあまりに汗びっしょりだったから
思わず「お疲れさまでした」とシナリオにない言葉をかけると、5人目が愛理様
である。オレは力を込めて「ずっと応援しています」と言った、愛理様が何と
答えてくれたのかもうよく覚えていない。覚えていないが、瞳がウルウルして
いたような気がした。繋いだ手は係員によって無情に引き離されたが、
他のメンバーよりも0.5秒でもイイから愛理様と長く握手する作戦は成功した。
柄にもなく「生きててよかった」と思った。風邪も治った気がした。

残念ながら会場の外に出た瞬間、激しく咳き込んで風邪は治っていなかった
のだが、憧れの人と握手ができて感動した次第である。